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てりむくり散歩

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日本建築の固有の形と呼べるものとして『てりむくり』という様式があります。『てりむくり』は「照り起くり」と書き、照りは反りのことを、起くりはゆるやかな起き上がりのことをいいます。『てりむくり』の典型は、いまでも銭湯や和風旅館の正面玄関にこれでもかと大仰に鎮座する唐破風屋根で、『てりむくり』の連続曲線を切りとったものといえます。左右に広がった屋根の端が反った照りの流れを中央にうけ、そこからむっくり起き上がった柔らかい起くりが構える姿はとても美しいものです。
じつは視点を引いて見ると身近な自然界にもこの『てりむり』の美しい連続曲線が存在します。
それは日本の海岸線です。この『てり』(湾)と『むくり』(崎)の連続曲線の繰り返しで日本列島のアウトラインが構成されています。いつからか、この美しい連続曲線に心惹かれ時間が許す限りこのラインを歩いてみたくなりました。
てりむくり散歩を楽しむ必要最低限の自分に課したルールとして、可能なかぎり『水際をトレースする』ということと、旅ではなくあくまで散歩ということで厳冬期以外は『サンダル』、そして『手ぶら』で行動が基本です。副産物としての『防潮扉の観察』という楽しみも発見しました。

東京の月島を起点に今回は清水から遠州灘の浜岡まで、てりむくってきました。

主な装備品 ●カメラ GRデジタルⅢ 28mm F1.9 予備カメラiphone5s ●サンダル モンベルスリップオンサンダル ●文庫本「冬の鷹」吉村昭著 ●たばこ ショートホープ ●日本手拭い、扇子など

photo taken by Iso Ryoichi 上左 御前崎方面 上右 浜岡方面 下 駿河湾防潮堤  
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